『獣王と薬草』おすすめポイント
- 魔王討伐後の魔族視点による物語が読みたい人におすすめ
- 敵対している人と魔族が協力する展開
- ファンタジー系ではあるがバトルではなく医療がテーマ
『獣王と薬草』作品あらすじ
魔王討伐から20年後の世界では「ダンジョン」と「モンスター」は絶滅せず、世界各地に存命している。
しかし、魔族が作成したダンジョンは人類にとって未知の文明であるため冒険者は利益を求めて探索の日々を送っています。
主人公のC級冒険者のティナは新人教育中に格上のモンスターと遭遇してしまい、新人を逃がすために殿を務めますが結果は相打ちにより深手を負います。
死の恐怖を感じていたところ人の足音が…これ幸いと助けを求めたティナでしたが、相手は20年前に勇者に倒されたはずの魔族:獣王ガロンだったのです。
ガロンは助けてほしければ”絶対服従の血の契約”を掲示します。ティナは命には代えられないと契約を選択したのでした。
・・・ガロンの治療に対する要求は、ダンジョンの主であるルビードラゴンの治療を手伝うことでした。契約もあり成行きで治療を補佐したティナは魔族に対して興味を持つようになったのでした。
この出会いにより表舞台では決して語られない裏側の「人と魔族」の物語が始まるのでした。
『獣王と薬草』詳細分析
本項では‘’獣王と薬草‘’の評価を視覚化(左図)しましたが、初刊のためざっくりとした暫定の評価となります。
『獣王と薬草』感想&評価
ファンタジー要素の医療に期待 ~医療以外にも見所あり!?
ファンタジー×医療のジャンルは探せばありそうですが、医療対象がモンスター(人型ではない)なのは中々無いのではでしょうか。
ファンタジーならではのモンスター素材を利用した医療方法や魔族視点によるモンスターの生態について詳しく解説されていけばオンリーワンな作品となり、ゆくゆくは「ダンジョン飯」の医療verの様な作品になることを期待したいです。
1巻時点での治療自体は物足りなさを感じましたが、冒険者を騙すためにスライムや魔道具を用いた展開は医療以外の見所になりそうです。
「ダンジョン飯」のコアなモンスター解説は読者を惹きつける物があったと思います。
キャラの堀下げとストーリー展開が課題
キャラ個性に関しては現状では薄味かなと感じました。主人公のティナが魔族と行動を共にしようとする点は世界設定としては異常な個性になりえるのですが…
数多くのファンタジーやなろう産の作品を知っている読者からすると、「ほぉ、普通の女やな」程度の認識に収まります。
魔族サイドの主人公であるガロンに関しても、医療の最たる目的が「あるお方の不治の病を治すこと」のため、”あるお方”が登場もしていない1巻時点では感情移入も難しいです。
ストーリー展開は”重くはないが緩くもない”程度の中途半端さを否めない印象でしたので、今後のティナ達のバックストーリーによる掘下げや、起こりうる数々な困難次第で評価も変わるかと思います。
1巻時点で好きなキャラは医療用スライムの”リリン”です。
スライムはどの作品でも愛着を持ってしまいます。
『獣王と薬草』基本情報
原作:艮田竜和
作画:坂野旭
キャラクターデザイン:ももちち
代表作品:艮田竜和『銀狼ブラッドボーン』
坂野旭『愛せなければ死ぬ ―60日間で本当の愛を見つける方法』
出版社:小学館
掲載誌:裏少年サンデー
巻数(2023年11月時点):1巻